12月17日、「最強のヒルクライム講座」(NHK文化センター京都主催)が開催されました。以下は、その報告です。
目次
2017年12月17日(日)、京都国立博物館において山の神・森本誠選手による「最強のヒルクライム講座」(NHK文化センター京都主催)が開催された。
講演開始は午前11時。
まずはNHK文化センター京都から開演の挨拶が行われ、講師2名とデマルキ京都店店長が紹介された。
講座は前半は森本誠選手による「最強のヒルクライム講座」、後半はゲスト講師をまじえたパネルディスカッションの2部制で行われた。
講師 森本誠
言わずと知れたヒルクライムの第一人者。日本最大級のヒルクライムレースで8勝をあげるほか、NHK BS「チャリダー」などで山の神として知られるお馴染みの選手である。
前半 「最強のヒルクライム講座」
講義時間 11時~11時45分
はじめに乗鞍8勝目をかざったラスト200mのスプリントを再現した。
ガッツポーズの瞬間、カメラやスマホのシャッター音が響き渡り会場は最初から一気に盛り上がる。
しかし、これは完全なやらせであった。
「実際のレースでは、ラスト15mでチェーンが落ち冷や汗をかきながら惰性でゴールラインを切った。」と森本講師が告白。
すると会場は大きな笑いにつつまれた。
そうして、会場の雰囲気が和んだところで本題へと移っていった。
最初に行われた自己紹介では、事前に受け付けていた体重コントロールの質問に回答。
ライバル選手が短期的に3~5kgの減量を行っていることを紹介しつつも自身は月1kgの減量にとどめていることを13年間の競技歴とプロ選手とやり取りしたエピソードを通して実践していることを紹介した。
また、チームメートの筧五郎氏が自身のトレーニング場所として主に使用する峠のことをホーム峠と呼ぶことに習い、森本選手もよく利用する多度山や二ノ瀬峠のことをホーム峠として紹介していた。
いずれもテレビなどで紹介されれいるのでよく知られているのか、受講生からは頷くしぐさが多く見られた。
しかし、意外であったのは「ホーム峠のコースレコードは持っていない。」という発言であった。
会場からは一斉に「へえ~」と意外さに驚く声があがった。
トレーニングに関する私見
「続けるためにトレーニング自体が楽しく面白くなるようにしている。」
「パワーメーターを使ったことはあるが、もう使っていない。」
「固定トレーナーはシーズン中5時間程度しか使わない。」
ことが披露されるなど、緻密なトレーニングプランを立てて実践する理論派と思われているが実は感性を重視して強くなったという一面を披露した。
以前、テレビなどで、照明を消し真っ暗にした部屋のなかで固定トレーナーに乗りトレーニングに集中する、といったエピソードが紹介され森本選手のストイックさを印象付けていたが今はしていないとのこと。
また、会場で言及されたか記憶にないが、事前の打ち合わせでは「スピードメーターさえ使っていない。」という驚きの発言も登場していた。
重視しているのは練習会
森本選手がトレーニングとして重視しているのは練習会の活用。
練習仲間と張り合うことで身体を追い込むことができ単独練習では得られない強度のトレーニングが実現できるそうだ。
また、自分よりも強い仲間とだけでなく、力の劣る仲間との練習でもやり方を工夫することで練習効果を高められることが紹介された。
パネルディスカッション
11時45分からはゲスト講師と司会が加わりパネルディスカッションを開催。
森本誠 板東陽平 前田久美子(敬称略)によるパネルディスカッション 11時45分~12時15分
ゲスト講師 板東陽平
イタリア帰りのフレームビルダー。マスタークラスの世界選手権優勝者が所属するイタリアの強豪アマチュアチームで2シーズンを過ごし、優勝一回のほか数多くの上位入賞を果たした元実力派レーサー。現在は、400年の歴史をほこる和弓の技術を習得し独特のしなりをもつフレーム制作を行っている。
受講生に役に立つ板東ビルダーが経験したイタリアの練習
パネルディスカッションは、板東陽平氏のプロフィール紹介から始まった。
初めて見るこの人物はいったいだれなのか?
アマチュアとは言えレベルの高いイタリアでレース活動をしてきた板東氏に対し、森本誠選手も興味津々であった。
また、板東氏が経験したイタリアでの練習は仲間との練習を重視するものであり、前半の森本誠選手の講演内容と通じるものがあった。
練習プランは特に立てず、模擬レース形式を繰り返すことや、ヒルクライムの練習には徐々に強度を上げて追い込むプログレッシブを実践していたことなど、受講生にとって比較的容易に採り入れることのできる内容が続いた。
和弓フレームを森本誠選手がインプレッション
実は、森本誠選手には、講演開始前に京都のサイクリストの間ではよく知られた峠・将軍塚に足を運んでもらい、板東氏が制作する和弓の技術を取り入れたフレームのインプレッションをしてもらった。
今シーズンから森本誠選手が使用する国産カーボンフレームと比較しながら、和弓フレームの独特のしなりと乗り心地の良さに触れ、長距離ロードレースに適しているという感想を語った。
残念ながら乗鞍で勝つためのヒルクライム仕様としては不向きかも知れないが、ツールド沖縄210㎞では武器になりそうという発言も出た。
また、竹という素材に対して抱きやすい強度不足や割れの心配に話題が及んだところ、以下の板東氏の回答により無用な心配であることが判明した。
「パリルーベチャレンジ(市民参加のパリルーベレース)をここにある和弓フレームで完走した。」
その過酷さを知る受講生の間から「おおっ~!」という歓声があがった。
フィジカル的には日本人もイタリア人も同等
日本のレースも経験したことのある板東氏からは、
「フィジカル面(身体面)は日本人とイタリア人は変わらない。」
「メンタル面は、日本人の方が粘り強さに優れている。」
という発言があり勇気をもらった受講生も多かったようだ。
一方、板東氏から「ほぼ毎週末にレースがある。」という発言に対し森本誠選手がすばやく反応。
「レースほどよいトレーニングはない。」と。
受講生へのメッセージ
パネルディスカッションは、受講生へのメッセージで締めくくった。
森本誠選手からは難しく考えすぎずにトレーニングを楽しむこと、板東氏からはトレーニング中に全力を出す部分を30秒でもいいから設けることといったヒントが語られた。
記念撮影と勝利宣言!!
質疑応答とNHK文化センター京都から閉会の挨拶の後、講師陣が受講席に移動し記念撮影を行った。
ここで森本誠選手に掛け声を依頼したところ、驚きの乗鞍勝利宣言が飛び出し会場は興奮に包まれた。
受講生の皆さま、ご来場ありがとうございました。
講師のお二人もお疲れ様でした。
森本選手にはさらなる活躍を、板東氏にはさらなる和弓フレームの探求を期待します。
フォトギャラリー
番外編
講演終了後、講師陣ならびに森本誠選手の勤務先「GOKISO」の皆さまにお越し頂きました。右の写真に写っているのはGOKISOホイールの生みの親、近藤会長。
講演前の打ち合わせの様子。
出番を待つ板東陽平ビルダー(笑)
登場商品
今回の講演で登場した商品を紹介します。
デマルキ イタリア 長袖ウールジャージ / De Marchi ITALY NATIONAL TEAM LONG SLEEVE JERSEY
「世界中の女性に美しいシルエットを届けるために生まれた長袖ジャージ 心癒される極上の肌触りも特徴」 ウィメンズ トレーニング ジャージ / WOMAN TRAINING JERSEY
先日は 森本さん、坂東さんのお話を聞く機会を 設けてくださって ありがとうございました。
購入した ビブタイツを 今日 初めて着てみました。
大阪市内へのサイクリングです。
朝、4℃でも お腹がホカホカ。
昼、10℃になると 足が暑いくらいでした。
思っていた以上の 暖かさに ウットリ。
今度は ヒルクライムの下りを 試してみます。
問題は 上着を脱がないといけない トイレ・・・ですね。
この冬は ビブで 元気にサイクリングです。